世界中からイイ靴を! ワールド フットウェア ギャラリーと 名だたるシューズブランドとの「40年物語」 BIRKENSTOCK(GERMANY)  1985年~

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ビルケンシュトック/約250年の歴史を誇る老舗にして、コンフォートフットウェアの祖

ビルケンシュトック「アリゾナ」

ビルケンサンダルのルーツである1ストラップタイプ「マドリッド」(1963年~)や、スリッポンサンダル「ボストン」(1978年~)と並ぶビルケンシュトックの象徴である、2ストラップ&2バックルサンダル「アリゾナ(Arizona)」の登場は1973年のこと。現在でも全モデル中、世界一の人気を誇っているロングセラーサンダルだ。

 

 

靴の歴史に偉大なエポックを刻みつけた足裏形状インソール「フットベッド」の発明

現存最古の靴メーカーはドイツ・ミュンヘンのエドアート・マイヤーで、その創業は神聖ローマ帝国下の1596年。日本ではなんと、豊臣秀吉政権下の安土桃山時代です。では「2番目は?」というと、それはおそらく、これまたドイツのビルケンシュトックで、その創業は1774年(メーカーとしては実質消滅したものの、ブランドが現存しているという点では英・ロンドンのヘンリー・マックスウェルがある)。ドイツではゲーテが『若きウェルテルの悩みを』を、日本では杉田玄白らが『解体新書』を発行した年に当たります。ちなみに「履物」というくくりであれば、その2年前の1772年、江戸・三田で足袋(たび)の老舗、大野屋總本店(現住所は東京・新富)が創業しています。

 

そんな大変長い歴史を誇るビルケンシュトックの歴史は、その1774年、ドイツ中西部ヘッセン州の南東部にあるランゲン・ベルクハイム村(現在はハンマースバッハ市の一地域)にて、ヨハン・アダム・ビルケンシュトック氏が教会の公文書に「臣民の靴職人」と登録されたことから始まりました。以後、このブランドはヨハンの子孫たちによって代々引き継がれていくのです。

 

1896年、靴職人コンラート・ビルケンシュトック氏がヘッセン州最大の都市フランクフルトに靴店を開き、それとともにインソール(中敷き)の製造・販売を始めます。「フットベッド」と称されたそれは、解剖学的に最適な形状と硬さで土踏まずをアーチサポートすることで、足の健康に役立つという画期的インソールでした(現在では一般用語である「フットベッド」もビルケンシュトックが創始したもの)。また、コンラート氏は国内各地、および隣国デンマークで製靴業者らを対象にした講義を開き、ビスポークシューズの製作における自身の医学的理論を説く努力もしました。

 

同社がフットベッドの生産規模拡大を図るべく、ヘッセン州中部の古都フリートベルクにある大規模工場を買収した7年後の1932年、カール・ビルケンシュトック氏が医師らのサポートも得つつ、製靴業などに携わる人々のための専門コースを開講。これは、後に有名となる「ビルケンシュトック講習会」の始まりでした。また、同氏は1963年、ブランド初のサンダル「マドリッド」を発表。それはフットベッドが搭載されたオーソペディックサンダル(足の治療や運動機能補助を目的としたサンダルのこと)であり、これが今日、あまた見るコンフォートシューズのルーツになったのです。

 

 

ビルケンサンダルはオーソペディックからファッションまでを包括する唯一無比の存在

ドイツでは18世紀初め頃、上流社会の男女の間でハイヒールが流行り、それにともない足を傷める例が急増したことから専門の治療士が出現するなど、足の健康に強い関心が高まりました。コンラート・ビルケンシュトック氏がフットベッドの開発と製造に着手したのは、こうした背景があってのことと考えられます。ちなみに、いまなおドイツ人は足の健康に敏感で、1930年代にフスフレーゲなるフットケアのエステティシャンが職業として定着し、これは現在、国家認定資格になっていますし、フットサロンが各地にあって、誰もがこれらを気軽に利用できるのだそうです。

 

ビルケンシュトックは第6代目を迎えた現在、約3000人ものスタッフを擁し、その多くをドイツ国内の各工場で生産。製品は世界約90ヵ国で販売されています。その市場のひとつである日本には1983年に初上陸を果たしており、当初はオーソペディック用の履物として輸入されていたものの、1985年にワールド フットウェア ギャラリーを介して各セレクトショップで取り扱われたことを機に、次第にファッションアイテムとして定着していくのでした。

 

 

「不格好なサンダルと嘲笑されましたが、カラー別注の展開を機にファッション性が認知されたんです」 by WFG スタッフ

1985年当時、東京・浅草でオーソペディックシューズの卸売をしていた某商社がドイツから、このブランドのサンダルを輸入していたんです。アメリカではすでに'60年代末頃、ヒッピーたちが厚手の靴下にビルケンといったスタイルを流行らせていて、'80代には広く知られるブランドになっていたことから、ファッションとしての可能性に着目した私たちは、その商社からビルケンを買い、それをセレクトショップに1万円台後半で卸すことにしました。もっとも、当時としてはあまりにも異形なサンダルだったため、靴業界からはずいぶん嘲笑されましたね。そこで1991年頃のことと記憶していますが、ラバーソールを白いタイプに変更させ、アッパーをカラフルな色にしたところ、男性にはもちろん、女性の間でも『カワイイ』と話題になって大ブレイクしたんです」

 

 

以上、執筆:雑誌ライター 山田純貴

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